今年の夏は終戦からちょうど80年という節目にあたります。改めて「戦争」と「平和」について思いを巡らせてみませんか。
国家間の安全保障に直接関与することはできなくても、私たち一人ひとりにできることがあると思います。まず、「戦争」の記憶を風化させないこと。体験者の声に耳を傾け、記録に学び、語り継いでいくことで、無関心から抜け出す第一歩となるでしょう。
また、「平和」は遠い理想でなく、私たちの日々の生き方の中に育まれるものだと思います。国際社会が力による現状変更を認めないように、私たちも人間関係において暴力や威圧といった手段に頼らず、対話と歩み寄りを重ねる姿勢を大切にしたいものです。
戦争する国や暴力に訴える人を批判するのは容易ですが、自分は決してそうならないと決め付けるのは慎重でありたいものです。
親鸞聖人は次のお言葉を残されました。
〝さるべき業縁のもよほさば、いかなるふるまひもすべし〟
思いもよらぬ状況に置かれ、さまざまな条件が重なれば、誰しも何をしでかすか分からない ―― そのような自覚をもって日々を過ごすことも、平和の担い手となるために大切なことではないでしょうか。
『安楽寺だより 第63号』より抜粋